りんごのはな
林檎（りんご）の木（き）たちは、ふかい雪(ゆき)のなかで、
しなやかな小(こ)えだをのばします。
なまりいろのそらにむかって、ぴんぴんとつきたったこえだを、とうさんが、
ぱチンパチンとさみできっています。
せんたいというごとです。＜いってきまあす。＞
お兄(にい)ちゃんとぼくと妹(いもうと)は、
學校（がっこう）に通（かよ）います。
2
ぼくらは學校（がっこう）が大(だい）すきでした。
いつも朝早（あさはや）く登校（とうこう）して、
夕方(ゆうがた）のおそくまで、學校（がっこう）であそんできました。
あそびつかれて家(いえ）にもどると、地(じ）ふぶきの中(なか）で、
父(とう）さんと母（かあ）さんは、まだパチンパチンとせんていのしごとをしています
ぼくらは、あわてて自分（じぶん）のそごとにとりかかりました。
お兄(にい)ちゃんは、馬(うま）やにわとりのせわです。妹(いもうと)は、
おばあちゃんといっしょに、ばんごはんを作(つく）ります。ぼくのしごとは、ふるたきです。
ふるのたきぎは、去年(きょねん）のりんごの小(こ）えだです。
３
春休（はるやす）みになると、なまり色（いろ）の空（そら）が靑（あお)い がラスのようにすきとおって、
白(しろ）っぽい太陽（たいよう）が、とてもあたたかくかんじられるようになりました。
父（とう）さんと母（かあ）さんは、二人（ふたり）っきりで、
百本（ひゃっぼん）のりんごの木（き）のせんていをおわさせてしまいました。
＜あったかくなってきたから、えだ拾(ひろ）い、たのむぞ。＞
と、父（とう）さんにたのまれたのに、ぼくらはさっぱり手(テ)つだいもしないで、
スキーをしたり、雪(ゆき）のしろを作（つく）ったりして、あそび回（まわ）っていました。
４
そんなある日（ひ）の朝（あさ）でした。＜かた雪（ゆき）だぞ！＞
お兄(にい)ちゃんがさけんでいました。ぼくらがあわてておもてにとび出(だ）すと、
きらきらと朝日(あさひ）にかがやく雪野原(ゆきのはら）を、
お兄(にい)ちゃんが犬(いぬ)のクマといっしょに 走（はし）り回（まわ）っていました。
＜かた（雪(ゆき)た！＞
＜かた（雪(ゆき)た！＞
ぼくらも、クマとお兄(にい)ちゃんを追(お）いかけて、追(お）り回（まわ）りました。
固（かた）くしばれ上（あ）がった雪野原（ゆきのはら）は、いくらとびはねても、びくともしません。
どこまでもどこまても、歩(ある)いていきます。
遠(とお)くに霞(かす)んでいる青(あお)い ピンネシリのやままでも、かんたんにいけそうなきがします。
＜ええ、どこまでもどこまでもいくたんけんたいをけっせいします。＞
おほんと、お兄ちゃんがむねをはりました。僕(ぼく)らは朝御飯(あさごはん)を食(た)べるとすぐに、
スキーで出発(しゅっぱつ)することにしました。目的地(もくてきち)は、ピンネシリの山です。
それなのに、＜りんごのえだ拾(ひろ)い，頼(たの)むぞ。かたゆきで、しごとも楽(らく)だからな。＞
と、お父(とう)さんに言(い)われてしまいました。
５
＜どこまでもどこまでもいくたんけんたい＞は、あっというまに解散(かいさん)です。
僕(ぼく)らはぶつぶつ文句(もんく)を言(い)いながら、りんごの小枝(こえだ)を拾(ひろ)い集(あつ)めました。
拾(ひろ)っても拾(ひろ)っても，小枝(こえだ)は，果(は)てしもなく散(ち)らばっています。
お昼(ひる)ごはんを食(た)べてからも，えだ拾(ひろ)いです。
夕方(ゆうがた)になっても、もくもくと、えだ拾(ひろ)いです。
＜つめたいよう。＞妹(いもうと)が，こちんこちんに凍(こご)えた手袋(てぶくろ)をかんで、なきはじめました。
＜もうちょっとのしんぼうだよ。すくにあったかくなるからね。＞
お母(かあ)さんが暖(あたた)かい息(いき)をはきかけながら、
妹(いもうと)の手(て)をごしごしとこすってやりました。
＜ちぇっ、あまえちぇってえ。＞
僕(ぼく)とお兄(にい)ちゃんは、ぜんぜんつめたくないようなふりをして、がんばりました。
６
拾(ひろ)い集(あつ)めた小枝(こえだ)は，馬(うま)そりに積(つ)み上()げて，
風呂場(ふろば)のわきまで運(はこ)びます。＜ほらよっ。>
と、妹(いもうと)をこえだの山(やま)の上(うえ)にほうり上げると、いきおいよく馬(うま)そりをおして、
僕(ぼく)らもパット飛(と)び乗()ります。いきおいのついた馬(うま)そりは、
スキーのように軽々(かるがる)とすべります。
小枝(こえだ)の山(やま)の上(うえ)で，妹(いもうと)がキャーキャーはしゃいでいます。
ふざけ合(あ)って仕事(しごと)をしているうちに、日(ひ)がくれてしまいました。
＜つめたいよう。＞ と、妹(いもうと)がまた、てぶくろをかんで、なきはじめました。
＜ああ、よく頑張(がんば)ってくれたなあ。＞＜本当(ほんとう)に、助(たす)かったよ。
今日(きょう)はもういいからね。＞ お父(とう)さんと母(かあ)さんは、僕(ぼく)らに例(れい)を言(い)って，
二人(ふたり)だけまたえだ拾(ひろ)いをつづけました。
７
＜おい、行(い)くぞ。＞ お兄(にい)ちゃんが、声(こえ)を潜(ひそ)めて言(い)いました。
＜どこまでもどこまでも行(い)く探検隊(たんけんたい)は、不滅(ふめつ)なのだ。＞
すっかり日(ひ)がくれたのに、これから探検(たんけん)に行(い)くというのです。
もっと、しかられるに違(ちが)いありません。でも、かた雪(ゆき)の日(ひ)なんて、めったにありません。
どこまでもどこまでも行ける日なんて、もう、これっきりかもしれないのです。＜よし、行(い)くぞ。＞
ぼくは、ぐんと馬(うま)そりを おしました。＜私(わたし)も行(い)く。＞
妹(いもうと)がピタッと泣(な)き止(や)んで、ちゃっかり馬(うま)そりにとびのりました。
８
夕霧(ゆうぎり)がゆるゆるとながれていました。粉雪(こなゆき)がかぜにふかれて、
けむりのようにうずをまいています。しずかでした。キシッキシッと,
雪(ゆき)のきしむ音(おと)しか聞(き)こえません。
僕(ぼく)らは青(あお)い影(かげ)をふみながら、どこまでもどこまでも、
黙(だま)って馬(うま)そりをおしつづけました。
なだらかな丘(おか)に、馬(うま)そりを おし上(あ)げて、ひといきつきました。
月(つき)が上(あ)がって居ました。
ボウッと銀色(ぎんいろ)にけむる雪野原(ゆきのはら)の中(なか)に,
ポツンと黒(くろ)くうかびあがっているのが、僕(ぼく)らの家(いえ)でした。
家(いえ)をとりかこむように、りんご畑(ばたけ)が広(ひろ)がっています。
ピンネシリの山(やま)は、靄(もや)に隠(かく)れて見(み)えません。＜よく働(はたら)いたよな。＞
お兄(にい)ちゃんが、ひとり言(こと)のようにつぶやきました。＜うん。＞と、ぼくらはうなずきました。
ーがんばって、はたらいた。誇(ほこ)らしい気(き)もちになりました。
＜行(い)くぞ。＞ と、お兄(にい)ちゃんが言(い)いました。＜おう！＞
僕(ぼく)らはそろりと馬(うま)そりを押(お)して、
パット飛(と)び乗(の)りました。クマも、ワンと鳴(な)いて、とびのってきました。
馬(うま)そりは、雪(ゆき)けむりを上(あ)げながら丘(おか)をかけ下(お)り,
そして、フワッと、飛(と)び上(あ)がりました。
９
かた雪(ゆき)の日(ひ)は,それきりでした。すっかり雪(ゆき)がとけて五月(ごがつ)になると、
りんごの木(き)たちは、今年(ことし)もいっせいに花(はな)をひらきました。
雪のように、白い花です。
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じふぶき[地吹雪]＝(쌓인 눈을 날리는) 눈보라.
あったかくなってきたから、えだ拾い、たのむぞ。＝ 따뜻해지고 왔으니 가지 모아 부탁한다.
さっぱり＝전혀
おほんと＝에햄(정말)
ひそめる[潜める]＝.숨기다; 감추다.
完全に日がくれたのに＝すっかりひがくれたのに＝완전히 날이 저물었는데
ぐんと馬(うま)そりを おしました。=힘껏 말썰매를 밀었습니다.
ひといき つきました。＝한숨 돌렸습니다.
なだらかな おかに＝완만한 언덕에
うかび上あがる = 떠오르다
ひとり言(こと)のようにつぶやきました.=혼자 말처럼 중얼거렸습니다
誇(ほこ)らしい気(き)もちになりました。=자랑스러운 기분이 들었습니다.
うなずきました。＝고개를 끄덕였습니다.
しばれる=얼다
2016年(ねん)1月(がつ)3日(にち)月曜日(げつようび) 韓善姬
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韓日 初級３ねんせいの 敎科書選에서 | |
